俺は大学卒業後、独身で街の商店街の親父がやってた薬屋を継いでた。
母は俺が大学を卒業して直ぐに亡くなった、今は親父と二人暮らしだ。
そんなに客は来なかったが、それでも1日に6〜7人は来て頭痛薬やらを買って行ってた。
だけどその中に変な客がいた
その客は80歳くらいの腰の曲がった老人だった。
客と言っても用事があるのは家じゃなく、店の前に置いてある薬屋の俺でも名前の分からないオレンジ色の象?のキャラクターにだった。
その老人は一週間くらい前から毎日来て、そのオレンジの象の口に必死に手紙を突っ込んでいた。
きっとポストと勘違いしているのだろう
と思ったが、俺は何も言わない事にした。
俺はそれをずっと見てるのが日課になってきた。
そして次の日もまたオレンジの象の口に手紙を突っ込みに来た
(俺)「またかよ…」
いつもなら見守るのだが今日は本当に暇だったので
珍しく声をかけようと思った。
(俺)「…おーい!じいちゃんそこはポストじゃねえぜ?」
(老)「…ん…?…ああ…」
(俺)「ポストならこっちだよ」
本当にポストと勘違いしていたのだろうか、少し恥ずかしそうにしていた。
(老)「いや〜…どこの誰だかは存じ上げませんが、親切に…どうもありがとうございます…」
毎日見てたせいか、手紙の宛先が誰なのかうすうす気になっていた
(俺)「じいちゃん毎日来てるけど…誰に手紙だしてんだ?」
(老)「あー…はははえーっこれは…妻にです」
(俺)「奥さん?なんだ?とおいのか?…ん?…しかもこれ送り先と届け主の住所一緒じゃねえか?」
あまり意外だったので俺は立て続けに質問をしてしまった。
(老)「ええ、妻は天国です。」
(俺)「…………!?」
(老)「今日が命日なんです…」
(俺)「…………」
(老)「いや〜…妻が3年前に癌で亡くなってから毎年この時期になると手紙を出すんです…妻が亡くなる前に言ったんです…
「あんたは私がいないとダメな人なんだから死ねないよ」って…だから天国で心配させないように元気にしてるよって手紙をだしてるんです…
こんな紙切れでも、こうすれば天国に届いてる気になるんですよははは…」
(俺)「じいちゃん…」
恐怖からくる鳥肌じゃない鳥肌が立ち、そしてちょっと
泣きそうになった。
象の名前はサトー君です