夢を見た。
あなたが嬉しそうにしっぽを振って走って来る夢を。
それを私は笑顔で優しく思い切り抱き締めた。
愛しく可愛くて大好きで。
そしたらまたブンブンしっぽ振ッて、きらきらしたつぶらな目で見つめて、私のひざの上に前足置いて顔を一度ペロッとなめて。
そしたらしっぽ振りながらどこかに行っちゃったよね
一度も振り返らないで。
当然のように夢の中の私はまた戻ってくると思っていたんだろう。
でもね、朝、家族の悲痛な声に目が覚めたと同時に、母親が起こしに部屋まで来た。
「早く」
それだけ言われて居間に行くとあなたはぐったり、でも静かな顔で横たわっていた。
その場で固まった私は「死んじゃったの?」と意外にも冷静に母親に訊ねた。
涙ぐむ母親は「突然すぎたよ、本当に..」と言って声を詰まらせた。
ゆっくり私はあなたに近づく。
大きくなでるとまだ温かく、眠っているみたいだった。
大粒の涙をながしながら私はあなたに「おーい、朝だよー、散歩行くよー、起きなよー」と言った。
そのとたん無性に息苦しくなり、呼吸もままならないまま、あなたの全身をなで続けた。
だんだんと冷たくなっていく。
私はあなたの身体が冷たくなるのが怖くて、一生懸命抱き締めた。
「あったかい?」
そう言いながらも身体はますます冷たくなっていく。
涙があなたの上にぽたぽたぽたぽた落ちてそこだけびしょびしょだった。
それでもなお、抱き締め、なで続け、名前を呼び続けた。
すると母親が「もういいよ..」と私の肩に手を置いた。
その手をよ勢いよくふりほどいた。
「もういいッて..!!!!」
そう言われて我にかえった私は固まった。
走馬灯のように思い出されるあなたとの思い出。
もう思い出も作れなくなって、添い寝するとこもできなくなって、毎日の楽しみが消えたようだった。
2007.7/15
あなたは旅立ッた。
あなたに沢山のありがとうを送りましす。
あなたに沢山の愛を送ります。
そしてまた、あの悲しみが戻ってくる。
今はまだ笑顔がぎこちないけれど、時間が経てばきっと私も苦しくなくなるだろう。
その時までもう少し待ってて下さい。
あなたが大好きな飼い主より。
あなたはずっと生き続けている。
生きた証がここにちゃんとある。
さようなら、ありがとう。