サクラ
２年前まで我が家には、サクラというトイプードルが住んでいました。サクラは俺の弟でした。家族はサクラにたくさんの愛を注ぎました。なかでも父はサクラに会うために家に帰って来ているようなものでした。
そんな父は心臓の病気を持っていました、いつかは来ると思ってた日が来ました。父は自分の命の限界を聞かされました。
我が家からは笑顔が消え、活気が消え、会話が消えていきました。
それでも父はやせ細った腕でサクラを抱き上げ、目に涙を浮かべながら、作り笑顔で毎日のようにサクラに話しかけていました。
その頃からサクラはいつも以上に父に甘え寄り添うようになりました。常に父の隣を離れることはありませんでした。
数ヶ月後、運命の日が近づいてきたにも関わらず、父は回復に向かいました。医者も驚きの回復力でした。
我が家に笑顔、活気と会話が戻りました。
同時にサクラは原因不明の心臓の病気にかかり、サクラはどんどんとやつれ、骨が浮き出し、毛が抜けてきました。原因がわからぬままサクラは発作を起こし、この世を去ってしまいました。
今思えば、笑顔のない我が家の様子、涙を浮かべた父の顔、サクラはすべて見ていたのでしょう。
サクラは父の病気をもらい 身代わりとなり我が家にいつもの笑顔と活気を与えてくれました。父は冷たくなったサクラのを抱きしめながら
『すまんな…すまんな…』と泣きながら言い続けていました。
今父は、自分とサクラの２つの命を持って、元気に暮らしています。
それは君の愛犬がお父さんを助けたんだよ。
動物は飼い主の悪いものをとって死んでいくんだよ。
