茶色のトイプードルの♂を飼っていました。知り合いから頂いた犬で、2歳8ヵ月から僕のもとに来ました。
僕は犬が大好きで、馬鹿かもしれないけど、
「自分の命よりも愛犬の命」
と本気で口にしていました。
仕事以外の時間は、できるかぎり一緒にいたし、仕事中でも愛犬の事で頭がいっぱいでした。
僕の楽しみは、週2回くらいの散歩でした。コースは決めないで、愛犬の行きたい場所についていき、走りだしたら競争したり、公園に入ったらアスレチックで遊んだり。缶ジュースを買って一緒に飲んだりもしました。長い散歩になると愛犬がバテてしまい、抱っこすることがあります。わざと長い散歩にして、赤ちゃんみたいに抱っこするのが好きでした。
夜はいつも一緒に寝て、僕が起きると愛犬も起きます。
一緒にお菓子たべたり、髪型だって一緒にしてました。本当にずーーーーっと一緒でした。
ただ、いたずらが大好きで、怒ることもたびたび……。
飼い始めて4ヵ月たったある朝の事でした。目が覚めた時に愛犬がいませんでした。淋しく思い愛犬を呼ぶと、台所でそわそわしてました。
『またイタズラしたなっ。』
って少しイライラしながら起き上がり近づいてみると、ごみ箱をグシャグシャに散らかしてました。時間があまりなかったんで、かたさないままソファーに座り、少し怒鳴るような言い方で、
「何やってんだよ、ばか」
と怒りました。靴下を履こうと思ったところにおどおどしながら近づいてきて、膝のうえに乗っかって来ました。これは愛犬なりのごごめんなさいのサインです。時間がなかったので、
「向こう行ってろ」
って軽く左手で跳ね飛ばしました。
その行為は、悔やんでも悔やみきれない結果になってしまいました。
1年中出っぱなしのストーブに頭をぶつけてしまったのです。当り所が悪かったらしく、舌を垂らして止まってしまいました。心臓マッサージ、人工呼吸しながら病院に急ぎました。朝早く、まだ開いていない病院のドアを叩きながら、
「すいません、おねがいします、助けてください。」
泣きながら叫びました。
なんとか先生が起きてくれて、急いで診てもらいました。僕は体に力が入らず、床に倒れこんでいました。
やがて機械が止まる音、ピーーっていう、いやな音が鳴り響きました…………。
その日の内に霊園に連れていきました。行く道で抱き締め、泣きながら、毎晩子守歌のように歌っていた歌を歌いました。
「世界で一番好きなんだ。おまえのためなら何だってできるよ。死ぬときは一緒がいいね。」
涙がとまらなくなりました。
誰よりも愛していた犬を、自分の手で殺してしまった……。
死んで償い、すぐに愛犬の元に行ってあげよう、、、。
そんな僕に知り合いが、
「死ぬのは簡単だよ。だけど愛犬を殺してしまった事実を背負い、愛犬の分まで頑張って生きる方がつらい償いなんじゃない?」
という、もっともな事を言ってくださいました。
僕はしばらく言葉が出せないです。口を開くと、涙がこぼれそうになるからです。でもなんとか生きていきます………。
愛犬へ
「ごめんな。本当にごめん。そして4ヵ月ありがとう。死んだら真っ先にいくからな。ジュースのみながらまた散歩しようね。
世界で一番好きなんだ。」
こんな大馬鹿野郎を、神様、早く殺してください。