泣ける話
初めて猫を愛しました

投稿者: カラス
^ 2011/04/27 01:30

これから投稿する内容を見て、動物好きの方から見れば、恐らく自分は底辺の人間に見えたでしょう。自分でもそう自覚もしてます。贖罪になればと思い記載させていただきます。

「何拾ってきとん!?」 厨房だった頃一つの事件が起きました。二つ下の弟が捨て猫を一匹拾って帰ってきたのです。聞けばどこかの馬鹿が捨てようとしている現場に出くわし押し付けられたらしい。。しかも他にも3匹程いたらしくその時一緒にいた友達も一匹ずつ連れて帰ったらしい。
まだ生まれて間もない、ガキの自分の掌に収まるくらいの白に灰色のラインの入った猫。母親を求めているのか腹が減ってるのかニーニーと泣くばかり。取り合えずと弟が牛乳を小皿に注ぎ持ってきましたが、もちろん生まれて間もない猫が飲めるわけもなく、仕方ないから指を牛乳に浸して猫に舐めさせました。
よっぽど空腹だったらしく無我夢中で指をなめ回していた。だがこちらはそれどころではない。この事態を親にどう話すか、どう隠すか無い頭を振り絞っていました。答が出るはずも無く、数日間猫を隠す事で頭が一杯になった。当然最終的には見つかったが、別の飼い主が見つかるまで飼ってよいと許された。それを聞いた弟は発狂せんばかりに喜んだ。犬好きの自分はそれほどでも無く、初めてあった頃から倍近く大きくなった猫を見て溜息をついていた。だけどその意思はたやすく消えた。
来たばかりの時、自分が牛乳をやっていたのを覚えていたのか、積極的に世話をする弟より自分に擦り寄ってきたのだ。母親と勘違いしてるのかわからないが、時にのんびりと漫画を見ている自分の足や胸の上に乗りすやすやと寝だすのだ。
まるで母親の懐で眠るようなその姿を見て、自分はあっという間に猫の虜となりました。それが自分が高校に入学してすぐだった。
遅すぎた。今思うと、何故もっと早くにその魅力に気づかなかったんだろう。

「なあ、あいつまだ帰ってこんのか?」
ある日、猫が突然姿を消した。何時もなら夕方には帰ってくるはずなのにあいつは姿を見せなかった。おかしく思い母親と弟が探しにでていった。自分はというと、愚かしくも危機感も無く「すぐ帰るだろう」「今日はたまたまだ」と、勝手で傲慢な考えで家に残った。
だがあいつは帰って来なかった。そして次の日、家族が恐れていた事態が起きた。
何時ものように呑気にゲームをしていると下から母親と弟が何やら大声を上げている。時間帯が時間帯だけに、自分は隣家の迷惑だと注意をしようと下に降りていた。その時目に飛び込んできたのはあいつだった。
泥で汚れた所を除けば、姿を消した前と何も違わなかった。だけど階段を一段一段降りていく毎に、明らかにおかしかった。不自然な形のまま動かず、母親が泣き弟が体を震わせていた。
何も考えられなかった。何も考えたくなかった。
ただただ怖くなり、自分は逃げるように自分の部屋へといった。例えようの無いほどの焦りと、自分への憎しみに狂いそうになった。止まる事の無い感情に、自分はがむしゃらに頭を壁に打ち付けたり、机を殴ったり可能な限り自分が痛いと思う事をした。
気が済んだのは真夜中だった。両親の言葉も、制止もきかないくらいおかしくなってたようだ。
手や額には血が残ってるのか濡れている。意識が正常になると痛みとか全てが帰ってきた。もちろん猫の事も。
ゾンビのように自分は静かに部屋を出ると、何を思ったか隣の弟の部屋を訪ねていた。真夜中だから眠っているはずだったが、その時は起きていた。亡きがらを前に、まるでまだ生きていて撫でてあげている最中のように穏やかな表情をしていた。
冷静になった思考が現実を直視させた。自分の目に初めて涙がこぼれ落ち、そのまま「ごめんな」と何度も呟いた。
誰に謝っているのか自分でも分からなかった。だけど謝る度に胸が痛んだ。そして自分は夜が明けるまで謝り続けた。

あれから時は経ち自分は22になった。あの頃の事を忘れる事は無く、今も胸が痛む夜がある。だけどそれは当然の報いだ。自分に動物を飼う資格は無いと何度も罵倒した。
だけどそんな自分に、あいつがチャンスをくれたのかと思う時が来た。

新たな家族だった。雨の日の高校の帰り道。自分はあいつとの出会いを彷彿させる、二匹の子猫を拾った。あいつにそっくりな、掌に収まる小さな体で、自分を見てニーっと鳴いた。それを聞いて、勝手に自分はあいつがまた自分達の所に帰ってきてくれたと錯覚し泣いた。

間違いでも良い。妄想でも良い。自分があの時あいつに出来なかった事を、もう一度チャンスをくれるためにあいつが連れてきたのだと自分は思っている。
自分があいつに出来なかった事、心から愛する事そして愛される事。
寝付けない自分に、今日もこいつらは自分の膝や胸の上に乗ってきて甘えてくれる。

泣きながら打ってる上に文才ないから変かも知れませんが、これが自分の精一杯です。ごめんなさい。


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泣ける、感動したら


[1]Re: 初めて猫を愛しました
^2012/08/24 14:31
投稿者: かず


確かに自分を責めてしまうのは仕方ない事ですが、文を読むかぎりあなたはペットを愛してるじゃないですか
ペットに死を見て涙を流し悔しいと思うというのはそれだけ、愛していたという事だと思います


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