僕が生まれる前からその猫はうちにいました。
名前は「ヨネ」といい、もともと知り合いの山に住んでいた野良猫を父親が拾って来たそうです。
ヨネはちょっと怒りっぽく、よく引っ掻かれた思い出があります。
父親もよく引っ掻かれたみたいです。
そんなヨネも僕が赤ちゃんの時は決して爪を出さずに引っ掻かかなかったそうです。
そんなヨネも赤ちゃんを産みうちにはヨネ、お婆ちゃんの家にはその子供のニャンが住んでいました。
時は流れてヨネは二十歳になりました。
猫にしてはとんでもない年齢ですォ
ヨネは年のため、完全に歩けなくなり確実に弱って行きました…
獣医にももう長くない、ここまで生きたのがすごいと言われました。
そしてある日…
動けなくなったヨネの看病をみんなでしていました。
そこに父親が帰って来ると父親はヨネに軽く挨拶をしてお風呂に行きました。
すると数日動かなかったヨネは立ち上がり、風呂場に向かいました。
家族はびっくりし、父親はお腹がすいたのかな?とか言いながら風呂に入って行きました。
父親は風呂から出ると、お風呂の前でヨネは死んでいました…
きっと最後の力を振り絞って父親に別れを告げに来たのだと思います。
その日は普段一緒に寝ない家族は同じ部屋で布団を引き、お花で囲まれたヨネと最後の夜を過ごしました。
僕が生まれる前からいたヨネ
引っ掻かれたりしたけど本当に良い思い出ばかりでした
本当に本当にありがとう。
その一年後、子供のニャンも後を追うように亡くなりました…
ヨネの死から十年近く経った今、うちには一匹の犬がいます。
その犬と父親が寝ている部屋にはヨネの写真が…
いつも見守ってくれてありがとう
忘れたりはしないから
たまには夢に出てきてね。
長文失礼しました。