これは、私じゃなくて母の話しなんですケド、
18年くらい前、母がダンボールに入った子猫を見つけて、家に連れてったそうなんです。
名前は毛の色がグレーだから[グレ]。グレ、家ではなく、外にいたらしいんですね。
グレを飼って3年くらいしたある日、グレが夜中になっても帰ってこなくて「おかしいなぁ」と思ってたら「ニャァー」猫の鳴き声がしました。小さかったらしいんですケド確かに「あっグレだ」そう思ったらしいんです。「グレ、帰ってきたの?おいで」いつもだったら喉をゴロゴロいわせて母の方にくるんですがその日は玄関のドアの前で座ってるんです。「グレ?どうしたの?」するとグレは「ニャァ」といい母の方に近寄ると母の頬をペロペロ舐めたんです。「グレ?」「ニャァ」母がグレの名前を呼ぶとクルッと母に背中を向けたんです。すると母はあることに気がつきました。「グレ…しっぽの付け根、噛まれたの?」そう、グレは外で他の猫と喧嘩してしっぽの付け根を噛まれていたんです。しっぽの付け根は噛まれると、死んでしまう場合があるそうなんです。「ニャァ、ニャァ」グレは二回鳴くと噛まれたしっぽを振って玄関のドアから外に出ていきました。「グレ…」
猫は自分が死ぬトキ、一人で、誰にも見られず死ぬそうなんです。
母は私にこう言いました。「グレ、あの時お母さんにバイバイって言ったのかもね。本当グレには感謝するわ。」私はその時母はグレに何の感謝をしていたのかわかりませんでした。でも今ならわかる気がします。それは、今度グレに伝えよう。