鼻黒
猫が死んだ
店の裏でご飯をあげている中で
一番おっきな体で
一番年寄りっぽくて
いつでも
のそのそ
と歩く奴
名前は鼻ぐろ
店の奥さんが名前つけた
奥さんにいっつも
｢おいっ！はなぐろ～！｣
って呼ばれても
無視して
のそのそ 歩いてた
鼻ぐろ
｢お前ぶっさいくやなぁ～｣
って馬鹿にされても
無視して のそのそ
歩いてた
鼻ぐろ
のそのそ歩きすぎて
道路渡るとき
車にクラクション
鳴らされても
のそのそ 歩いてた
鼻ぐろ
一回も手渡しでは
ご飯食べてくれなかった
鼻ぐろ
上等なﾁｬｰｼｭｰには
見向きもせず
味のない
鳥ガラの肉を食べてた
鼻ぐろ
ﾔﾝﾏﾏﾆｬｰﾆｬｰが お腹おっきな時
いっつも一緒にいてあげてた
鼻ぐろ
子猫ﾆｬｰが４匹産まれたら
あんまり姿を見せなくなった
鼻ぐろ
おそらく父親猫である
飼いクロネコを
追っかけまわした
鼻ぐろ
自分がもらった ご飯なのに
子猫が近寄ってくると
怒りもせず
分けてあげて
一緒に食べてた
鼻ぐろ
電車が来たら
少しだけ のそのそ
より早めに
歩いた
鼻ぐろ
電車にひかれて
動かなくなった
鼻ぐろ
ﾔﾝﾏﾏﾆｬｰや子猫のいる場所の
近くに
うめられた
鼻ぐろ
さよなら
鼻ぐろ
