僕は昔、TOMという名前のシェルティを飼っていました。
TOMは僕と同い年でした。
生まれた時からずっと一緒でした。
TOMは、やさしい犬でした。
僕が泣きながら帰ってきた日には、僕の涙をなめて拭き取ってくれます。
僕がいじめられていた時は、小さな体を張って、僕を庇ってくれます。
まるで兄のような存在でした。
僕は、弱い子供です。
だから、強いTOMが大好きでした。
まだ幼かったぼくは、このまま、ずっと一緒に大人になるんだって思っていました。
だけど。
僕とTOMが15歳になったある日。
突然、TOMが倒れました。
つらそうな目でした。
何とか立とうと、TOMが足に力を入れているのがわかりました。
僕はどうしたらいいかわかりませんでした。
ただ、泣きながら、お母さんを呼びました。
TOMは病院に連れていかれました。
病院で見たTOMは
強かったはずのTOMは
うつろな目で、狂ったように鳴き喚いていました。
落ち着かせるために薬を使い、TOMをリラックスさせて、僕らは家に帰りました。
TOMの命がもう残り少ないことは、わかっていました。
でも、認めたくありませんでした。
その夜、どこかを見つめながら吠え続けるTOMを抱きしめて、僕は過ごしました。
寝るのが惜しかったんです。
でも
TOMは死にました。
明け方に「ワン」とひときわ大きく鳴いて、TOMは動かなくなりました。
涙が、止まりませんでした。
でも、泣いていたら。
TOMは天国に行けません。
だから、僕はもう絶対に泣きません。
いままでありがとう、TOM。
君は僕の最高の兄です。
血はつながっていなくとも、種が違っても。
僕は君のような最高の兄をもてて、幸せでした。
天国で、僕を見ていてください。
辛いなー…