今日もゲージの中で、きっとあなたは私の帰りを待っているのでしょう…。
キャンディ。
あなたが来たのは6年前の初夏でした。
主人が仕事の帰りに車の前に飛び出してきた!と連れて帰ってきたのは、トィプードルの女の子でした。
私達は、こんな高い犬だから…と飼い主さんを捜しましたが結局見付ける事ができず、喜ぶ子供達に押され、うちで飼う事になりました。
名前は主人が付けました。
それからは、まだ保育園に通っていた娘達と一緒にお風呂へ入れたり、車へ乗せて海や公園どこにでも出掛けました。海水浴では、私の後に付いて小さな体で海へ飛び込んでいました。
「行くよ」と言えば、真っ先に玄関へ行き車に乗り込む子でした。絶対に私の近くから離れなかったのでリードは要りません。
冬はこたつでも布団でも、いつも私の足元にいました。寝る時は必ず私と一緒でした。
キッチンに立つ時もトイレへ行く時も寝ていたはずのキャンディは、ちょろちょろと私に付いてきました。
しばらくして私達夫婦は喧嘩の絶えない日々が続くようになりました。
そして、夫からの暴力を受けるようになりました。
ある日の夕食時、いつものように、些細な事で喧嘩になり、夫から手をあげられました……それが近くにいた小学生になっていた娘に当たったのです。
私を蹴ろうとした足が娘のお腹に入りました。
幼い娘は内臓の破裂という重症を負いました。
……勿論、私達夫婦は離婚となり、子供達は私が引き取りました。
入院は長引き、引っ越し先を探す時間もなく、ペット可の物件を見付ける事が出来ませんでした。
一ヶ月後、荷物を取りにうちへ戻ると声にならない鳴き声でキャンディは鳴いていました。
話しを聞くと、私達がいなくなってからは、ゲージから出せば家の中を落ち着きなく捜し続け、外へ出すと私の車の周りを走り回っているため、ほとんどゲージから出せなかったそうです。
久しぶりに会ったキャンディは目の回りが、目やにで固まり、目を開けるのも大変な状態でした。
犬も泣くのか…。
私は好きなだけ可愛いがり、無責任に捨てていく自分がどれだけ酷い人間なのかと思わずにいられませんでした。
いつか迎えに行くよ。
また一緒にお風呂へ入ろうね。
お願いだから…泣かないで…。
大好きよ。キャンちゃん。