DEAR 風ちゃん
風ちゃん覚えてますか？
初めて風太が
お家に来た日のことを‥
寒くて風が強い日に
お家に来たことから名付け
られた「風太」
風は私が呼ぶ度にシッポを
振ってかまってくれたね。
小さな小さな風太は
哺乳瓶からミルクを飲み
手の平サイズのわんちゃんで
ちょこまかちょこまかして
ソファで遊んでいたね。
そんな小さかった風太は
一年、また一年と経つと
大きく大きくなっていったね
家族のような親友のような
学校で悔しいことや
悲しいことがあるといつも
風太の前で泣いていたよね
ママやパパの前では少し
強がって甘えられない時も
風太にはたくさん甘えたね
首をかしげてどうしたの？
正にその言葉の通りの
顔をして目の前におすわり
している風ちゃん
いつもはかまってかまって！
ってお尻をフリフリして
来るのにそんな時は静かに
泣かせてくれたね‥
一緒に遠くの方まで散歩に
行ってお花の香りをかいで
たくさん走ってたくさん
いろいろな場所へ行って
一緒に鼻歌を歌って一緒に
大人になって来たよね‥
「でんしゃ～のまどから～」
と歌い始めると
「くぅんくーんくぅん♪」と
一緒に歌ってくれたね
でも、だんだん一緒に居る
時間が少なくなって
散歩にも行かなくなって
何もかも親に頼りぱなしに
なって受験ということで甘えて
風太と遊んであげられる
時間が本当に無くなったね
そこに居るのが当たり前で
あの頃の私には風太が
居なくなると言う気持ちが
考えられなかったんだ
そこに居なきゃおかしくて
そこに居るのが当たり前で
ずっと一緒に居るのが家族
勝手にそんなことを
思って居たんだ
ばかだから風太の異変に
気付かずに過ごしたあの夏
本当に、本当にごめんね
秋になる頃には風太の体は
思うように動かすことが
できなくなっていたんだよね
病院に行った時には
もう、遅かったんだ
それからの毎日は
風太につき着っきりの
毎日になったね
今更つき着っきりになっても
遅いのかもしれない、でも
風太の側に居たい
少しでも長く一緒に居られる
時間を永く永く増やしたい
そう思ったんだよ
薬を舐めないように首には
プラスチックのカバー
毎日の薬塗り、そして薬飲み
痛がる風太を見て
ごめんねごめんねって
涙が止まらなかった
それから一週間後
風太はご飯を食べなくなったね
一生懸命一生懸命手で
少しずつつまんであげようと
するのに風太は首を背けた
そしてその一週間後には
水を飲まなくなったね
呼んでも呼んでもうつらな目
風太？風ちゃん？ぷーた？
ばーか風ちゃん？風くん？
目を合わせてくれるのが
精一杯の風ちゃんの合図
いい子いい子をするとどんな
時でもシッポを振って
居たのに振らなくなったね
もう、本当に水も拒んで
いい子いい子しても
無表情で呼吸がおかしくて
もう駄目かもしれないって夜
涙が溢れて溢れて
自分がしたことを悔やんで
なんで守れなかったの？って
なんで風ちゃんを‥って
泣いて泣いて泣いて泣いて
出る言葉はごめんね
ごめんなさいって何度も何度も
風ちゃんをいい子いい子して
めやにをとって
パパ、ママ、弟が居て
風ちゃん風ちゃんって声を
掛けても風ちゃんは
ずっと遠くを見てたね
「風ごめんね本当にごめんね
風大好きだよやだよ風太
風太‥風ちゃん‥風太風太
ごめんね本当に」
言葉にならないような声で
たくさん泣きじゃくりながら
風に問いかける私に
呼吸をするだげで精一杯な
風太が頭をあげて
自力で立とうとしておすわりを
しようと頑張っては
倒れて頑張っては倒れて‥
よたよたしながら
私の目の前でおすわりをして
ふせをしました‥
次の日の朝風太は
昨日のことが嘘のように
元気でシッポを振り
私達を安心させてくれました
いつも通りめやにをとって
水を口にしめらせて
いい子いい子をして風太の
名前をたくさん呼んで
風ちゃん大好きだよ～！
風ちゃんは宝物だよ
「風ちゃん、風ちゃん
めやにまたとりにくるからね
風ちゃん風ちゃん
よしよしよしよしっ！」
その１時間後
風ちゃんは口を開けて
私達が居る方に手を向けて
天国へ旅立ったね‥
風ちゃんやだよ風ちゃん
ずっと私の弟でしょ？
ごめんなさいごめんなさい
風ちゃんを返して下さい
風ちゃん風ちゃん風ちゃん
逝かないでやだやだ
風太？風ちゃん？風くん？
ぷーた？ばか風ちゃん？
いくら呼んでも風太は
目を覚ましてくれなかった
自分がばか過ぎて
後悔が胸に残って、ただ
ごめんなさいごめんなさい
って風に謝ることしか
出来なかった‥
もっと甘えさせて
あげれば良かったって
もっとたくさんの場所へ
連れてってあげれば
良かったって
もっともっともっとって
考え出したらきりがなくて
風ちゃん‥？
こんなばかな飼い主で
本当にごめんね
ずっとずっとずっと
風太は舞の宝物だよ
何年経っても何十年経っても
風太は舞の大切な大切な
家族であり、親友です‥
風太にとってこんな飼い主で
たくさん悲しいこと
させちゃったよね‥
風ちゃんにとって舞は
家族であり親友ですか‥？
風ちゃん‥
嘘だよね？長い長い散歩に
お出かけしただけだよね？
帰ってくるよね？
絶対お家に帰って来るよね？
いつまでも待ってるよ
家族皆は、風ちゃんのことを
早く帰っておいでね？
生まれかわって
帰っておいでね‥？風ちゃん
私が以前飼っていた猫も
フウちゃんって名でした
私もフウの異変に気付かなく
気付いた時には既に
息を引き取った後でした
当時小学生だった私は
【フウが死んじゃった】
そんな悲しみで泣いていましたが
18歳の今になると
【私がフウの異変に気付かなかったから
私がフウのそばを離れたから】
そんな気持ちで悔し涙がでます
フウは私たちと居て
幸せだったかなんてわかりませんが
数年後新しく家にきた猫が
性格がフウにそっくりなんです
だからその子をフウの分まで
愛を込めて育ててあげようと思いました
長々すみません…
