私の父は、大の猫好きです。
子供の頃「猫がそんなに好きなら飼えばいいのに」と言った私に、「お父さんは猫は飼わないんだよ」と父は静かに言いました。
どちらかといえば猫より犬が好きな私はどうしても猫を飼いたいとは思いませんでしたが、「何故だろう?」と不思議に思っていました。しかし理由を聞くと父の顔が悲しそうになったので、なんとなく聞かない方がいいのかなと子供心に思いました。
しかし私が高校生の時に初めて父はその理由を話してくれました。
私が産まれるずっと昔、まだ父が学生だった頃、父はミィちゃんという猫を飼っていたそうです。
田舎の山の中にある古い家。
ミィちゃんは毎日父が学校から帰る頃になると、山の梺で父の帰りを待っていました。
いつも父の側にいて、一緒の布団で寝て、オートバイの籠に乗って一緒に山道を走ったり、父が一番ミィちゃんを可愛がり、ミィちゃんも父に一番なついていました。
ある日
父の住んでいた家が火事で全焼してしまいました。
幸い家族もミィちゃんも無事でしたが、父達は新しい町に引っ越さなければいけなくなりました。
その時に父は祖父母から「新しい町に猫は連れていけない」と言われました。
当時まだ学生だった父は言い付けに逆らえず、ミィちゃんを自分で帰って来れない所まで連れて行く事になりました。
父はミィちゃんをオートバイの籠に乗せて、泣きながら走りだしました。
でも、どうしても置き去りにする事ができず山道をグルグルと走り続けていたそうです。
すると突然ミィちゃんがオートバイの籠から飛び出しました。
父は慌ててオートバイを止め「ミィちゃん!」と叫びましたが、ミィちゃんはそのまま山の中に走り去ってしまったそうです。
そして、ミィちゃんが戻っ来る事はありませんでした。
今までオートバイに乗せる事なんて何度もあったのに、その時飛び降りた事なんて一度もなかったのに。。。。
そう話す父の目からは涙が溢れていました。
この話は母も知らなかったそうです。
ミィちゃんは父の気持ちを察して自ら去っていったのでしょうか。
ミィちゃんへ
お父さんさんの事、恨んでますか?
お父さんはミィちゃんの事を何十年も経たなければ家族にも話せない程、ずっとずっと苦しんできました。大好きなミィちゃんを置いていこうとした事を後悔し続けています。
だから、せめてもの償いで猫は一生あなただけと心に決めているようです。
どうかお父さんを許してあげてください。
久しぶりに心の琴線にふれるお話をうかがいました。ペットが飼い主のことを思い悲しい行動に出る、こんなに胸のつまることはありません。しかしながら似たような話は見たことがあります。安楽死間近の重病犬が、処置をためらって俊巡していた家族と獣医師の前で突然処置台に飛び乗り、身を横たえたのです。飼い主の知人として立ち合ったときの話でした。家族の一員として、共に生きてきたペットの心情をや家族の気持ちを思うと痛哭の思いがあります。このお話のお父さんと私はほぼ同年代かと思います。あの時代は世間一般として、ペットが家族の一員という意識が未だ希薄であって、年長者は特にその傾向が強かったものです。状況的に仕方なかったと思いますが、お父さんはずっと苦しんでおられたようですね。でももうその子は許していると思いますよ。そう思わないと可哀想すぎますよ。最後に心やさしいお父さんをこれからも大事にしてあげて下さい。
はじめまして
ミィちゃんは、あなたのお父さんの事を恨んでないと思います。
あなたのお父さんは連れていけないと言われ、唯一泣いてくれたし
別れを惜しんで山をグルグル回ってくれた
だから
こんなに思ってくれて嬉しいと思ってると思います。
飼い主に似るという言葉の通り
あなたのお父さんの様に優しい子だったんじゃないでしょうか?
だから迷惑かけれないと自ら去ったんじゃないでしょうか。
私も猫が大好きで久々にグッと来ました。
悲しい話だけど、いい話を見れて良かったです。
温かいコメントありがとうございます。
ミィちゃんはきっと父を許してくれていると言って頂き、とても救われました。
これからも父を大切にしていきます。
本当にありがとうございました。