色のない虹
KOHSEI
9/2-21:13
｢この掌へお出でませ｣
自由に舞い踊る蝶々に言う
｢私はただ羽ばたきたい｣
空の色に重なるほど遠ざかる
移ろいでゆく景色を
あなたは今どこで感じている？
五感を持ってしても
分かり得ぬことの多い浮き世の末
消えて
見えなくなってしまえば
この身さえ空気と同じ有り様
そこに
在っても見向きもされぬ
それなら人の流れにただ逆らってみる
私はただ気づかれたい
その瞳に
その意識の深く迄
記憶の中まだ在るはずだと
ただ祈る
ひたすら祈る
私を例えるならそうね
色のない
そこにあるだけの虹
剥がされてゆく記憶に
あなたの姿を手探りしてる
未完の物語を
見届けずに葬るようではこの世も末
萎えた
想いを誰に授けても
蕾さえ開かぬまま千切れるだけ
そこへ
一雫でも落ちれば
還らぬ物の痛みを少しは解るだろう
私はただ気づかれたい
その瞳に
その意識の深く迄
記憶の中まだ在るはずだと
ただ祈る
ひたすら祈る
私を例えるならそうね
色のない
そこにあるだけの虹
あなたしか見ていない筈なのに
あなたは私の目に映らないの？
私はただ気づかれたい
その瞳に
その意識の深く迄
記憶の中まだ在るはずと
ただ祈る
ひたすら祈る
この身を色付けでほしい
その心の
あなたにしかない色に
躯の隅々まで行き渡る
その熱も
刻みつけて
私を例えるならそうね
色のない
そこにあるだけの虹
あなたに彩られるのを待つ
まだ色のない虹
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F09A3
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