つよくてよわいひと。A
ゆめくいびと
^10/20-22:34
寿命を知った彼女は
また,強くなった
今度は強がりじゃなく,たぶん本当に。
俺はそう思った。
俺と彼女の両親,三人で車椅子に座る彼女を補助しつつ
彼女と,旅をした。
「悪いけど,最後のわがまま聞いて。あたしの力になって。」
彼女は俺たちにそう告げていた。
まず彼女は,隣に住んでるおばちゃんとおじちゃんを訪ねた
「あたしを支えてくれてありがとう。あなたがいなかったらこんなにあたしは笑えてないよ。」
彼女は言った。
俺は理解した。彼女がやりたいこと。
泣き崩れてしまったおばちゃんとおじちゃんを背にして
次に向かった先は,近所に住む親戚の家。
ありがとう。
彼女は強くてきらきらした顔で言う
俺は無言で頭を下げる
次は,何年も通った美容院。
担当の若い男性は,彼女の病気をまだ知らなかった。
彼女が笑いながら重い重い病気の説明をすると
握っていたハサミを落とし
髪を切っている最中のお客さんのことも忘れ
真っ赤な顔になって
泣きながら彼女を抱きしめてくれた
彼女がありがとう,とポツリと言うと
全く無関係なお客さんまで泣いちゃって
小さな小さな彼女を愛おしい眼差しで見つめた
彼女担当の美容師さんが言った
「さ,切っていき! 今日はサービスや! シャンプーにマッサージまで,全部サービスや! 可愛くしてやるからさぁぁぁ…」
彼女は,凛として,席に座った
「泣いてちゃ切れませんよっ」
って,ニコニコできてるのはお前だけだよ…
彼女は,綺麗だ。
俺は彼女以上に輝く子なんか見たことない。
好きです,好きです,大好きです,なんて
彼女みたいに真っ直ぐ伝え切れないまま
また,言葉が詰まるや
俺は無愛想で目つき悪くて恋愛下手
ほんとお前につり合わないって思う
けどお前が好きだと言ってくれるから
俺は俺でいてお前を好きでいていいんだって思えるんだ
彼女は,旅をする
今まで生きてきた中で自分と少しでも関わった人みんなに“ありがとう”って言いたいんだって
俺はどこへだってついていくよ
お前がいかに人を愛し人に愛されてたかを知ることができるんだ
それが誇らしくって,嬉しくって。
ほんとはさぁ
ありがとうって
真っ直ぐ目ぇ見て,ハッキリでっかい声でさ
俺がお前に言いてぇ
いや,言わなくちゃだめなんだよなあ
それは
これが終わったら,
彼女の“旅”が終わってからにしようかな
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