ウソつき3
ウィーザード
^9/8-02:20
※この話はフィクションです。また、ウソつき1と2の続きです。
政史は帰路の途中、ずっと考えていた。「彼氏とケンカ中の女が、他の男の家に行きたい。」というのは、どういうことだろうと。
政史「あのさ…。」
さゆり「…ヲ」
政史「寝てるしネでも、寝顔はかわいいな。このまま寝ててくれないかな。むかつくこと言わないし。」
車は政史の家につき、政史は駐車場に車を停めた。辺りはもう暗くなっていた。政史はさゆりの肩をゆすり、起こした。
政史「家に着いたよ。」
さゆり「えっ。」
政史「なんで、怒ってるんだよ。」
政史は車を降り、家の玄関の鍵をあけた。振り向くと、さゆりが後ろに大きなバックを持って立っていた。政史は玄関のドアをあけた。
政史「どうぞ。」
さゆり「お邪魔しまーす。」
政史は車に戻り、ドアの鍵をロックして、再び玄関に戻った。さゆりは玄関にいなかった。
政史「あれ、どこに行った?」
2階から政史を呼ぶ声がした。
さゆり「ねー。」
政史は階段をのぼり、2階にあがった。さゆりは向かい合った2つのドアの前に立っていた。
さゆり「あなた、一人暮らしだよね。なんで、アパートじゃなくて、一軒家なの?」
政史「それは…、富山県は持ち家率が全国ナンバー1だからだよ。」
さゆり「でも、一人で一軒家に住んでいるのは、おかしいでしょ。」
政史「それは…、いろいろあったからだよ。」
さゆり「いろいろって?」
政史「いろいろは、いろいろだよ。」
さゆり「まあいいや。こっちの部屋は何?」
さゆりは南側のドアを開けた。そこは10畳くらいのフローリングの部屋だった。
政史「ここは、オレの寝室。」
さゆり「へー。じゃ、こっちは?」
さゆりは北側のドアを開けた。そこは6畳くらいのフローリングの部屋だった。
政史「ここは、空き部屋。物置かな。」
さゆり「へー、空き部屋ね。あっ、布団もある。」
政史「それは、お客さんがきたときのための布団だよ。」
さゆり「わたし、しばらくこの部屋に住むから。」
政史「えっゥ住むってなんだよゥ」
さゆり「だって、帰るお金持ってないし。今から着替えるから出てって。のぞいたら、殺すゥ」
さゆりは両手で押して、政史を追い出し、ドアをバタンとしめた。政史は向かいのドアノブに肘をぶつけた。
政史「痛い、痛い、痛いなー。人の家に勝手にあがりこんで、『のぞいたら、殺す。』ってなんだよ。」
政史は自分の寝室に戻って、テレビを見ていた。しばらくして、隣の部屋から、政史を呼ぶ声が聞こえた。
さゆり「ねー。」
政史は隣の部屋のドアを開けて中に入った。
政史「入るぞー。お前、なんて格好してるんだ。」
さゆりは男物のおっきいTシャツを1枚着てるだけだった。
さゆり「何、へん?わたし、寝る時いつもこの格好だよ。それより、シーツしくからそっちの端と端を持って。」
政史「わかったよ。」
二人は端を両手で持って、シーツをピンと張り、そのまま敷き布団の上におろそうとした。しかし、政史は両手をはなし、そっぽを向いた。
さゆり「ちょっと。マジメにやってよノ」
政史「…下着、丸見えなんだよ。」
さゆり「キャ、変態。」
政史「変態って、見えたんだから仕方ないだろ。自分1人でやれよ。」
さゆり「シーツおろすとき、下むけばいいでしょ。さあ、早くノ」
政史「わかったよ。」
二人はまた端を両手で持って、シーツをピンと張り、今度は政史は下を向いて敷き布団の上にシーツをおろした。
政史「あとは自分でできるだろ。」
政史は自分の寝室に戻ろうとした。
さゆり「ねー、お祝いしない?」
政史「なんの?」
さゆり「引っ越し祝い?ちがうかヌ何でもいいから、なんかないの?」
政史「ポテトチップと缶ジュースとペットボトルのお茶くらいしかないけど。」
さゆり「それでいいや。早く持ってきて。」
政史「わかったよ。」
政史は1階の台所からポテトチップと飲み物をおぼんの上にのせて、さゆりの部屋に持っていった。
さゆり「ねー、乾杯しよう。」
さゆりは政史に缶ジュースを1つ渡し、自分も缶ジュースを1つ持って、プシュっと開けた。
さゆり「乾杯普v
政史も缶ジュースをプシュっと開けて、二人は缶ジュースをぶつけた。
政史「乾杯普v
二人は缶ジュースをごくごく飲んだ。政史はポテトチップの袋を破って、二人はバリバリと食べた。
政史「ところで、『しばらくここに住む。』って、彼氏と仲直りしなくていいのか?」
さゆり「だって、このままじゃ結婚できない。」
政史「えっ、結婚って?」
さゆり「結納はもう済んでて、6月末に結婚する予定なの。」
政史「6月って、今月じゃないか。」
さゆり「…。」
政史「単なる彼氏と違って、結婚相手なんだろ。」
さゆりは目に涙をいっぱい貯めて、ゆっくり話し出した。
さゆり「わたしとあいつは同じ大学でね。もう一人同じ大学の共通の友人の女の子がいたの。その子はわたしと違って、お金持ちのお嬢様で、美人で、おとなしくて、品があって、優しくて、ピアノとかひけて、料理も上手で、それに胸が大きくて、…男の人って、オッパイおっきい人が好きなんでしょモ」
政史「今、胸の話はどうでもいいだろ。」
さゆり「あっ、ごめん。どこまで話したっけ。…とにかく、理想の女の子なの彼女は。それで、あいつが彼女を好きになって、二人とも奥手だったから、わたしが恋のキューピッドになってあげて、二人は付き合い始めたの。そして、大学3年の6月に事件はおきたの。その日、すっごい豪雨で視界が悪かったの。彼女はあいつの運転する車の助手席にのってたの。そして、交差点で右折しようとしたとき、あいつが直進してくる対向車を見落として、ちょうど、助手席に激突したの。彼女は即死、死体はとても見られたものではなかったらしいよ。あいつも意識不明の重体で1週間生死をさまよったの。奇跡的に意識を取り戻したけど、彼女の死を知ったあいつは、死んでるも同然だった。わたしは一生懸命慰めたよ。だって、あいつを好きになったのは、彼女よりもわたしの方が先だったから…。」
政史「だったら、なんでキューピッド役なんかしたの?」
さゆり「だって、わたしのうち貧乏で、奨学金もらってたから、勉強しなきゃいけないし、バイトもしなきゃいけないし、何より、二人は理想のカップルだったから…モ」
政史「意外といいところあるんだな。」
さゆり「『意外と。』は余計よ。」
政史「ごめん。」
さゆり「大学卒業して、何年かして、あいつが『付きあおう。』って。そして、去年の6月末に『結婚しよう。』って。わたし、聞いたの、『彼女のこと、忘れた?』って。そしたら、『忘れた。』って。でも、それは絶対ウソなの。プロポーズした日と、結婚する日は彼女の命日なの。それに、あの事故以来、あいつ左ハンドルの車しか運転しないの。絶対忘れてないでしょ。わたし、ウソが大嫌いなの。その事であなたと初めてあった日もあいつとケンカしたの。」
政史「彼氏は他にウソついてないの?」
さゆり「ついてないと思うよ。あいつもわたしと同じでウソが嫌いだから。」
政史「もし、彼氏が正直に『彼女のことが忘れないよー。』『彼女のことが忘れないよー。』っていったらいいの?」
さゆり「ヤダ。」
政史「じゃ、自分の責任で彼女こと死なせたのに、彼女こと、これっぽっちもおぼえていない冷たい男だったら、君は好きになったの?」
さゆり「それもヤダ。」
政史「彼氏がついてる唯一のウソは、他の誰でもない、君のためについてるウソだろ。君のこと大切におもってるから、君のこと愛してるからだろ。なんでそれくらい、わかってやれないかなー。」
さゆり「もう。ヤなものはヤなの。うるさい。出てって。出てけーメ」
また、さゆりは両手で押して、政史を追い出し、ドアをバタンとしめた。また、政史は向かいのドアノブに肘をぶつけた。
政史「痛い、痛い、痛いなー。『出てけ。』って、ここは俺のうちなんだけど。」
政史は自分の寝室に戻って、ベッドに横たわり天井をみていた。しばらくして、ドアをノックする音がした。
さゆり「ねー、もう寝た?」
政史「まだ、起きてるよ。」
さゆり「入っていい?」
政史「いいよ。」
二人はベッドの上に座った。
さゆり「さっきは、…ごめんなさい。」
政史「いや、俺の方こそ言い過ぎた。」
さゆり「でも、どうしても、あのウソが許せなくて…。」
政史「俺だったら、君みたいにかわいい子がつくウソだったら、だまされてもいいけどなー。」
さゆり「えっ…。」
政史「ウソ、ウソに決まってるだろ。」
さゆり「もう。ウソつきノ」
政史「ごめん、ごめんヌ」
さゆり「わたし、あした横浜に帰って、あいつと話してみる。」
政史「それがいいな。…あっ、すっぴんだ。眉毛ない普v
さゆり「ちょっと、あまり見ないでよ。」
政史「でも、すっぴんの方がかわいいな普v
さゆり「どうせウソなんでしょ。」
政史「わかってきたなー浮ィ前、俺のこと男と思ってないだろ。」
さゆり「そう思ってたけど、さっき下着見られたからなー。」
政史「あれは見たんじゃなくて、見えたんだよ。もし、本当に見る気だったら、黙って見てるだろ。」
さゆり「どうだか。」
政史「『どうだか。』じゃねーよ。もう遅いから寝ろよ。」
さゆり「わかった。おやすみ。」
政史「おやすみ。」
さゆりは自分の部屋に帰り二人は眠った。次の朝、政史は起きて、1階の洗面所で歯をみがいた。顔を洗って、頭をあげると、鏡ごしに化粧をしたさゆりが立っていた。
政史「準備万端だな。ちょっと待ってて、すぐに着替えてくるから。」
政史はすぐに着替えて、二人は車に乗り、空港に向かった。二人は終始無言だった。空港につき、駐車場に車を停め、二人はロビーに向い、さゆりはカウンターでチケットを買った。
政史「まだ、時間があるから。朝ごはん食べない?」
さゆり「うん。」
二人は空港の食堂入った。
政史「何食べようかなー。」
二人「氷見うどん普v
政史「すいません。氷見うどん、2つください。」
政史は店員に注文した。氷見うどんは意外と早く出てきて、二人は無言で食べた。政史は先に席立ち、レジでお金を払った。さゆりはあわてて、席を立ちあとを追った。
さゆり「今日はわたしが払うよ。」
政史「お金ないくせに、偉そうなこと言うな。」
さゆり「そうだねヌごちそうさま普v
二人は2階の保安検査場の前まで行った。
政史「あのさー、確か3千円かえしにきたんだよね。」
さゆり「そうだよ。」
政史「さっき、3万円貸したけど、なんか貸してるお金増えてない?」
さゆり「男が細かいことにこだわるなーヌ」
政史「まあいいか普v
さゆり「このサンダル、なんか気に入っちゃった。しばらく、借りるね。」
政史「もう返さなくてもいいよ。」
さゆり「絶対返す。3万円も絶対返す。」
政史「いいよ。」
さゆり「絶対返す。」
政史「わかったよ。早く行けよ。」
さゆり「ねー、…ありがとうモ」
政史は不覚にも、泣きそうになり、後ろを向いた。
政史「早く行けよ。」
さゆりは一礼して、保安検査場の中に入った。政史は後ろを向いたまま、振り返ることなく駐車場に向かった。車に乗ったとたん、突然、雨。が降ってきた。政史はワイパーを動かしたが、前が見えなかった。
…終わり。
IDcNYafR9hWW.
P904i
▼ソーシャルボタンを押して、友達にも教えてあげよう。
▼泣ける、感動したら
□@カキコミをする
[37]アリサ
^10/15-03:03
↑
あの、そのコメントはわらしさんに向けてのコメントですよね?
少し解釈出来ないところがあるんですが、、、
ID8v8YcgLK7BM
au
[38]ウィーザード
^10/15-11:35
アリサさん、はじめまして譜モ味不明な文章を書いて申し訳ありません
「わらしさん」=「ナルシスト三好さん」です。「キター」と「おい、ゾウ、霊長類なめんな。」は「織田裕二」つながりなんですよ。最後のダジャレはわらしさんのダジャレのパクリです。
解説しても、意味不明ですねヌ
IDcNYafR9hWW.
P904i
[39]アリサ
^10/15-18:12
>>ウィーザードさん
そういう事だったんですか!
私が勝手に誤解してしまったのと、わざわざ説明までしてもらって、どうもすいませんュ
ID8v8YcgLK7BM
au
[40]わらし
^10/15-20:16
アリサさん、はじめましてナルシスト三好ことわらしです。たぶん、わたしのことは理解できないと思います。ちなみに、ペットの話内に「カメの一生」があるから読んでみて下さい。そうすれば、わらしのことがわかると思います。ウィザードさん勝手にウィザードさんの投稿場で宣伝してごめんなさい。こんな、my mother(わがまま)なわらしをお許しを〜
IDdbQABcFg/yA
811T
[41]ウィーザード
^10/16-05:34
アリサさん、別に気にしないでください。
わらしさん、今度は英語を使うとは国際派ですね
IDcNYafR9hWW.
P904i
[42]わらし
^10/16-19:37
続が出ました。どうぞ、ご賞味下さい
IDdbQABcFg/yA
811T
[43]アリサ
^10/16-23:33
>>ウィーザードさん
ありがとうございました。
>>わらしさん
はじめまして~
最近時間が無くてサイトに来れませんでしたm
明日両方共読みますZQ
ID8v8YcgLK7BM
au
[44]ウィーザード
^10/18-09:02
アリサさん、また来て下さって、ありがとうございます。
私の作り話の感想はどうですか?つまらない場合は正直に「つまらない。」と言って頂いて結構ですよ浮烽オ、良かったら感想よろしくお願いしますねホ
わらしさん、必ず見に行きますマ
IDcNYafR9hWW.
P904i
[45]アリサ
^10/18-12:52
>>ウィーザードさん
話は好きですよ~
でも絵文字は控え目にしてもらえるとうれしいです。普通の小説感覚で読みたいのでI
ストーリーものは展開がとても楽しみなんで、終わっちゃって悲しいですmソ
ID8v8YcgLK7BM
au
[46]ウィーザード
^10/29-03:26
ウソつき4−3
※この話はフィクションです。
政史はあわてて、置いてあったサンダルと3万円を両手にそれぞれ持ち、話し始めた。
政史「私はサンダル屋です。」
婚約者「サンダル屋?」
政史「はい。さゆり様は当店でこのサンダルを借りられて、この3万円は延滞料金です。今日は、結婚式ということで、心よりお祝い申し上げます。」
婚約者「何で、サンダル屋が『さゆり様』って、名字じゃなくて、下の名前で読んでるんだ?それに、サンダルの延滞料金が3万円って、一体いつから借りてるんだ?」
政史「…ネ」
政史は硬直して何も答えることが出来なかった。
婚約者「あっ、あなたが…浮「や、サンダル屋さん、わざわざ、こんなところまでサンダルをとりに来て下さってありがとうございした。」
さゆりの婚約者は、床に頭がつくぐらい頭を下げた。政史はそれを見て、ただのぼんぼんでないとさとり、この人ならさゆりを幸せにしてくれると思った。
政史「では、私はこの辺で失礼します。」
政史はさゆりと婚約者にそれぞれ、一礼して立ち去ろうとした。
さゆり「おいゥウソつき。。。……………………………ありがとうモ」
政史はその言葉に対して、サンダルを持っている右手をあげることぐらいしか出来なかった。そして、逃げるようにその場を立ち去った。
婚約者「さゆり、追いかけなくていいのか?」
さゆり「私ね、あの人が私を連れ去らないって、わかってたんだよ。」
婚約者「ホントかよヌ」
さゆり「私の言ってる事が信じられない?」
婚約者「……いや、信じられる。」
さゆり「じゃ、私もあなたを信じる。」
婚約者「………そろそろ時間だ、行こうか。」
さゆり「はい普v
二人はゆっくりとチャペルにむかった。
ある年の9月最終の日曜日、政史は友人と二人で、道の駅「いおり」の駐車場で海を見ていた。その日は、雲一つない快晴氓セった。
友人「夏もあっという間に終わちゃったなー。お前、この夏、何かいいことあった?」
政史「いいや。」
友人「やっぱりなー。話かわるけど、お前さー、夏も終わったのに、なんでいつもその汚ないサンダルはいてるんだ?」
政史「これは、……俺の大切な人との思い出の品なんだ。」
友人「へ?お前、今のウソだろ普v
政史「ああ、………ウソだ。」
………本当に終わり。
みなさん、好きに批判してくださいね
IDcNYafR9hWW.
P904i
[47]わらし
^10/29-23:52
続々編をご賞味下さいまし
IDdbQABcFg/yA
811T
[48]ウィーザード
^10/30-08:35
わらしさん、続々カメイチ見ましたよ。早く結末が知りたいです。
IDcNYafR9hWW.
P904i
[49]名無し
^3/6-17:00
いちい
IDdbQABcFg/yA
920P
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