彼女のほうが上手だった。
名無し
^8/27-00:51
もう付き合って5年以上たっていた。
うつむいて戸惑いながら子供ができた、と言われた。
結婚しよう、そういった俺にびっくりした顔を見せて、少し恥ずかしそうに笑って頷いた。
3ヶ月くらいたってからだっただろうか。
突然、彼女が結婚はしない。子供もおろすといい始めた。
問い詰める俺に対して、彼女は一切何も言わなかった。
つわりもひどかったようだし、少し休息が必要なのかと思った。
次の日から連絡が取れなくなった。
しばらくして彼女の親に聞いた。
癌が見つかった。
すでに手遅れ、とのことだった。
そんなそぶりは一度も見せたことなかった。
自覚症状もなかったらしい。
あと3ヶ月。
俺には絶対に言うなと言われいたらしい。
会いたいと何度も頼んだが、病院は教えてもらえなかった。
それから2ヶ月。
何度も彼女の実家に足を運んだ。
とうとう、一緒に病院へ連れて行ってくれた。
すでに、彼女の意識はなかった。
延命装置を外すのだと言われた。
眠っているようにしか見えなかった。
それでも、もう二度と目を開けることはないらしい。
彼女の家族と一緒に見送った。
指にはペアリングがされたままだった。
指がむくんでしまって、看護婦に外すように言われても嫌がったらしい。
病室の引き出しから出てきた一枚のメモとタバコの空き箱。
「一緒に棺にいれてください」そう書かれていた。
タバコの空き箱には「外で待ってる」と書かれていた。
飲み会のときに、途中で俺が彼女に渡した空き箱。
告白するために、外に呼び出したやつだ。
こんなものを、まだ持っていたなんて。
結局、彼女は子供を連れて旅立った。
胎児が痛みを感じることはもっとずっと後だと聞いて、限界まで一緒に生きると決めたそうだ。
どれだけ自分が痛くても、胎児に影響のある治療を断り、痛み止めを求めることもなかったらしい。
俺は、何をどう考えたらいいのだろう。
彼女になんていったら言いのだろう
ごめん、しか思いつかない。
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