ずっと言えなかった言葉
ひとり
^10/9-18:23
俺は生涯一度だけ宝物を手にすることができました 小さい頃からいい加減で好き勝手やって来た 何人もの娘と付き合い 別れ 無駄に時間を使って来た 自分ではナチュラルホストなんて思って真剣に自分を思ってくれてる娘の気持ちなんかも切り捨てて来た そんなある日一人の女と出会った そいつは八歳も年下で見た目もきつくて初めはチャラチャラしてる自分を軽蔑してたらしい でも俺は一目惚れだった 間違いなく一目惚れだったから話も出来なかったし連絡先も聞けなかった それから二年 友達を通して再会した その間自分の生活は変わる事なく流れていたのだが どうしても話をしたくて連絡先を聞いて飲みに誘った 結果は当然断られる でも諦め切れない俺は何度も誘った 何度目だろうか 「いいよ」の返事 朝から浮かれて約束の時間前には飲んでもないのに吐いてしまう始末 たくさんの話をした三時間 あんなに自然に笑えて 自分を出せたのは初めてだっただろう 同時にこの人に惹かれている自分に気がつく 皮肉な事に人を初めて真剣に好きになり 自分の周りにいる娘に申し訳ないと思った それから一人一人に連絡をして付き合いを終わらせることにした なじられて殴られて周りに悪口も言われても黙ってるしかできなかった 今なら相手の気持ちも分かったから・・・・・・ 自分勝手だった自分を責めて欲しかったから・・・・・・ 一人になってから初めて また誘った あれこれ理由をつけて会う約束をしてあちこち出掛けた それから半年間 キスどころか手もつなげなかった ホント中学生みたいな俺だった ある九月二日 半年言えなかった付き合って下さいの一言 ずっと言いたくて言えなかった一言がムードも何にも無いタイミングで言えた 当然向こうはキョトン顔 断られると思ってたのに意外な返事 また吐きたくなる俺 ドラマでよくほっぺをつねったりするけど俺は電柱に頭突きして確かめた 付き合って初めて手を繋いだデートは救急病院だった 笑うとかわいくて 黙っててもかわいくて 変な単語使って話して 意外な特技もってて マンガが好きで 野菜が嫌いと言う菜食主義で ドライブ好きで すぐ車に酔う奴で キリがないくらいエピソードあった それから二ヶ月 初めての口喧嘩 しなくていい口喧嘩 最後の口喧嘩 「もう知らない」を言い残して外に飛び出した どうせ玄関で座ってると思った でも一人でいるうちに俺がどんな気持ちで付き合ってって言ったか思い出した 一生守る宝物だと思ったからだ 「喧嘩の理由はどうでもいい 謝ろう」 と思って外に出たが居ない 若干焦って探し回った 角を曲がった時足元にジュースが転がって来たその時勢いよく曲がる車にぶつかりそうになった 「あぶねーな」 と思いながら先にすすむと人だかりができている 普段は気にしないがその中に混じっていないか見に行った ・・・・・・・・・・・・いた・・・・・・・・・・・・・・・・・ 確かにいた 倒れてる・・・・・・・・・・・ 何がなんだかわからずにかけよると「大丈夫`」と一言 「仲直りのコーヒー買ったよ`」彼女の手には一本のコーヒー・・・・ かすれる声で「冷たいのと温かいので迷ったから二つ買ったよ`」 いつも俺が飲むコーヒー 最近コーヒーが飲めるようになった彼女の手からはホットのコーヒーが一本渡された 考えるより先に冷たくなって行く彼女にコーヒーを渡し 叫んでいた 助けてなのか救急車を呼んでいるのか覚えてないけど叫んでいた ずっと名前を呼んでいた 寒いと言っていたので自分の服もかけたし周りの人からも借りて掛けてやった 小さな声で「ありがとう 愛してる」と言われたけれど答えることが出来なかった 答えたら消えてしまいそうで 背けている現実を認めてしまいそうで答えられなかった 彼女は病院に着く前に逝ってしまった 救急車の人はそれでも懸命に名前呼んでマッサージしてくれていた その後の事は記憶にない・・・・・・・・・・・・ 彼女の家でベットに寝ている彼女を見たとき涙は出なかった でも あの寝相の悪い彼女が動かない いつも横を向かないと寝付け無い彼女がきちんと枕で寝て天井を向いている たぶん頭が理解してしまったんだろう 涙が止まらなかった その後事故現場に行ってみた 行きたくなかったけれど現場検証に来てくれと言われ足を運んだ 「あなたがこの角を曲がったときどんな車が来ましたか`」 警察の人に言われて思い出した 足にジュースの缶が転がってきて俺は車にぶつからなかったんだ 足元を見るとあの時彼女の持っていたのと同じジュース・・・・・・ 「二つ買ったよ`」 もう一本はこれだったんだ 彼女がどうやったのか 偶然か故意か 今となっては分からないけど 俺は確かにこのコーヒーで救われた 彼女に出会って昔の自分から救われて 事故から救われて 俺は一体何をしてあげれたんだろう` その場で泣き崩れてしまった 葬式の日 彼女の母親から携帯を渡された 「うちの子 ずっとあなたが好きだったのよ`二・三年前かしら 一目惚れしたって帰って来たのよ その後再会した夜嬉しそうに帰ってきて どうやったら付き合う事ができるか私と相談したんだもの・・・」「あとこれがあの子の携帯なの 一件未送信メールがあって 宛先はあなたよ` まだ見てないけど よかったらみてあげてね」 俺はすぐさま開封した 「さっきはごめんなさいF嫌な言い方したね`帰ったらコーヒーで乾杯飲だ おまえもちゃんとあやまりやがれニニニニ 今から帰りマースvU ずっと愛してるからねヌ手放すなょ`」 俺はなんであの時喧嘩しなくてはいけなかったんだろう`出ていくのを止めなかったんだろう`どうして謝れなかったんだろう`そして なぜ愛してると言わなかったんだろう`` こんなことなら宝物なんて手にしなければよかった 一生クソみたいな奴のままで だれも好きにならなければよかった あれから一年 自己嫌悪と後悔を繰り返してるけど 唯一彼女に出会えて変われた自分をも捨てたら 彼女とのすべてを失いそうで自暴自棄にすらなれない毎日です 今は彼女に会いたい 声が聞きたい そして愛してると伝えて返事を彼女の口から聞きたい 長文で失礼しました 俺と同じような体験は誰にもしてほしくないし させるような真似はしないでください みんな小さな幸福にすがって生きてるのだから
IDWIEzgRKJ9wM
911SH
▼ソーシャルボタンを押して、友達にも教えてあげよう。
▼泣ける、感動したら
□@カキコミをする
H掲示板TOP