これは、僕の友達の話です
彼の兄は、他人と、少しだけ違います
兄は、他人より物覚えが悪く
普段全く喋らないかと思えば
突然叫んだりしてしまいます
いわゆる知的障害というものです
そんな兄を持つ弟は 、小さい頃から
兄の世話を手伝い
兄の為に必死でした
弟が就職し、はじめての給料日
親は『私が働けなくなった後の兄のためだ』と言い
弟の給料を殆ど持って行ってしまいました
次の給料日も
その次も
また、その次も
ボーナスも
仕事終わりには、すぐに兄の世話をするため家に直帰
そんな毎日を送るうちに
弟は兄を憎むようになりました
ある日
弟が家に帰ると
弟が彼女との結婚の為に少しづつ貯めていたお金が減っていることに気がつきました
親に訪ねると
『兄の為だ、兄弟なんだから助けあいなさい』と言われました
さすがに弟も怒り、親と口論になりました
弟『毎回給料からお金を預けてるじゃないか!
』
親『弟が兄を助けるのは当然だろう!』
そう親が言った瞬間
何も喋らなかった兄が
『弟をいじめるな!』と親に怒鳴った
兄の知的障害は
後天的なもので
事故にあう前には健常者だったのです
弟は、その台詞を聞いて
そういえば兄は小さい頃
どんなに怖いおもいをしても自分を守ってくれていたな、と
思い出した
思い出したら、途端に涙が出た
もう何も分からないほど、変わってしまった兄が
まだ自分を守ろうとしてくれたことが嬉しくて
それから
何年か経ち
いま、その家には
兄と、弟が住んでいます
あと何年かしたら
弟は結婚します
その時、兄は施設へ入ることが決まっています
なんだか
やるせない気持ちですが
この兄弟は
上手くやっていけそうな気がしています
親はともかくイイ弟だね。
頑張った人にはそれなりに見返りがくるんだな。
最愛の人と結ばれるっていう。
おめでとう