兄貴
俺が中二の時の話
俺には四人の兄と一人の妹がいた
１１月頃、学校で部活していたらパトカーと救急車が走って行くのが見えた…
アホな俺は『迎え来たぞ』とか『どんな悪い事した』とかダチとふざけていたら母ちゃんがいきなり学校に来た
『○○（四番目の兄貴）が事故にあったから家に早く帰れ！今から病院に行くから』
兄貴が事故ったらしい…
１６歳で１８５センチ９０キロの兄貴が事故って怪我した位で大袈裟だと思い家路に着いた…
しかしそこには隣のオバチャンが待っていた…
お袋が部屋を片付けるよう伝えたらしい
本当に大袈裟だと思いつつ兄貴との共用の部屋を掃除してると妹と二番目の兄貴と叔父や叔母や近所の人が集まりだした…
正直なとこまだ実感は無いが耳に入ってきた言葉は
『○○が亡くなった…』
しかし近所のオバチャンに色々な道具の在処を聞かれてたりしたりしていたら落ち込む暇もなかった…
そのうちオヤジや他の兄弟が帰ってきた
そして母ちゃんと死んだ兄貴も…
布団に寝かされた兄貴は鼻に綿を詰め白い顔をして後頭部にはガーゼを貼り首が紫に変色していた
オヤジや母ちゃんは青い顔して対応に追われ他の兄貴もバタバタしている中で俺は死んだ兄貴の枕元でジッと顔を見ていた…
そこに二番目の兄貴が来て『一番辛いのは母ちゃんなんだからな』と言われた
俺は真っ白な頭を整理するためによく二人で登った裏山の松の木に登り泣いた
プロレスごっこで容赦なかった兄貴
俺をパシリに使った兄貴
いびきがうるさいと叩き起こした兄貴
しっかりお年玉を貯金していた兄貴
いたずらしてよく二人で怒られた兄貴
苦手な社会の宿題を見てくれた兄貴
漫画を先に読ましてくれる兄貴
すべての面で俺より出来のいい兄貴
そして俺の自慢の兄貴
俺はまだ虐めた仕返しもしてないし
変わってあげた皿洗いもやってもらってないし
そしてまだ『ありがとう』と言ってない
だから起きてこの木の俺の隣まで上がって来いよ！
そんな弱くねーだろ
もう一度
もう一度だけ
殴ってくれよ
そして一緒に笑おうよ…
俺は来年の誕生日で兄貴が死んだ歳の二倍生きる
結婚して子供もいる
兄貴
祝福してくれるか?
それとも俺の人生はまだまだか?
とても感動しました。
お兄ちゃんが生きたかった分までお兄ちゃんの何倍も生きて幸せになってください。
