俺の家には父親がいなかった
離婚した母親に俺と姉貴は引き取られた
母親は俺たちを養う為に仕事ばかりで忙しかった
だから家事や俺の面倒を見るのは常に姉貴だった
俺がいじめられた時も助けてくれた
まるで兄貴だった
腹が減ったら美味い飯を作ってくれた
まるで母親だった
初めて夢精して困惑した俺が相談したのも姉貴だった
まるで父親だった
姉貴は俺にとって姉貴じゃなかった
大人になった今
それが作為的なものだと知った
悲しかった
姉貴はあの時
俺の所為で女の子になれなかった
俺がもし
もっと男らしかったら
もっと料理が上手かったら
もっと色々知っていたら
姉貴は女の子になれていたんだろうか
今
姉貴は水商売で家計を助けてくれている
女の子にならないまま女になった姉貴は
幸せなのだろうか
ごめんな
あなたみたいな優しい弟さんがいて、お姉さんは幸せだったと思います。あなたの前では「女の子」にならなかっただけ。
強いお姉さんですね。
あなたも、本当に優しい方です。