お兄ちゃん
私もう、お兄ちゃんより年上になったよ!
それに、今年結婚するんだよ!兄ちゃんにも見せてあげたかったなぁ!
私が、小学4年生の時に、いとこのお兄ちゃんが交通事故で亡くなった。
私のことを一番可愛がってくれた。自分の自由に使える少ないお金で、私の誕生日にプレゼントをしてくれる本当に優しいお兄ちゃんだった。
お兄ちゃんが亡くなる日、最後に会ったのは私だった。
『兄ちゃん、今日は成人式だったんでしょ?おめでとう!それに、明日誕生日だよね?プレゼント、今度来るとき買ってくるね!』
お兄ちゃんは、20歳という若さで亡くなった。
『ありがとなぁ!楽しみにしてるな!じゃあ、友達と出かけるから、また今度遊ぼうなぁ!』
『うん!またね!』
まさか、最後になるなんて思いもしなかった・・・
私が、亡くなったのを知ったのは翌朝だった。
なぜか、両親が出かける様子だった。
『朝早くからどこか行くの?』と私が聞くと両親は、『もう、行ってきた』
私は、訳がわからずにいると、母が暗い顔で
『あのね、お兄ちゃんが交通事故で亡くなったの・・・』
あまりに突然で、理解できなかった。でも、本当だとわかった途端、声を出して泣いた・・・
夕方、家に行くとお兄ちゃんが寝ていた。傷は無く本当にいつもと同じように寝ているようだった。
お兄ちゃんのそばに行き、手に触った。
冷たかった・・・
穏やかな顔で、呼んだら起きてくれると思った。
『兄ちゃん・・・お兄ちゃんにまだ、プレゼント渡してないよ!起きてよ!』
起きてくれなかった・・・
兄ちゃん、私の旦那さんになる人、お兄ちゃんに似て優しいんだよ。