俺には六歳の妹がいる。そして一つ上の姉もいた。
三年前、当時妹は三歳、俺は高校二年、姉は受験生だった。姉は受験生なので夜遅くまで勉強し、朝なかなか起きて来ないので妹が姉の目覚まし役だった。
「お姉ちゃん起っきして!」と、毎朝姉を起こしていた。姉は起きると必ず、妹を一度ギュッと抱きしめて布団からでる。そんな姉と俺はというとケンカの多い姉弟だった。俺たちがケンカするたびに妹は泣きじゃくり、母さんに怒られた。
ある日の朝、俺と姉は洗面所の鏡の優先権をめぐって、いつもの言い合いに。
「死ね!」「消えろ!」とか簡単につかった。結局姉は学校に早く行って、学校のトイレで髪を整えると言って家を飛び出していった。俺は普通の時間に家を出た。大通りを歩いていると、人だかりがあって、救急車が止まっていた。その人だかりの隙間から見えたのは、頭から血を流して倒れている姉の姿。
「姉ちゃん!」
俺は鞄をほうりなげ、人だかりに割って入った。
「姉ちゃん!姉ちゃん!」
返事はない。
すぐさま救急車に俺も乗り込み、姉は病院に運ばれた。姉は即死だった。居眠り運転の車が突っ込んできて姉をはねたらしい。俺はベットの上の姉の姿が見ていられず、病室の外の椅子で泣いた。姉の前では涙を見せたくなかった。なんか弱いところを見せたくなかった。この期に及んで俺はなに意地はってんだ。
母さんが妹を抱きかかえて、走って息をきらしてやってきた。俺と病室に入った母さんは、姉の変わり果てた姿を見て泣きくずれた。俺は涙を我慢した。すると妹が姉のもとに駆け寄り、
「お姉ちゃん、起っきして!寝ちゃだめだよ、お勉強できないよ!ねえ、起っきしてよ、お姉ちゃん!」
涙があふれた。我慢なんてしなくていい、我慢なんてできない。俺は悲しさと自分の愚かさに泣いた。何で逝くんだよ、朝ケンカしたやんか、まだ大学入試終わってねえよ、あんなに頑張ってたのにこれで終わりかよ。自分の中でたくさんの感情がいっぺんに出た。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
妹はまだ姉の腕をつかんで話しかけている。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん起っきしない。」
「もう、お姉ちゃんは起っきしないんだよ。」
そして俺は妹をギュッと抱きしめた。
俺は今姉の志望していた大学に通っている。姉の夢を俺が叶えると誓った。
そして、三年前から毎日の日課として続いていることがある。それは毎朝妹をギュッと抱きしめて一日が始まること。妹に嫌がられる日がくるまで俺は続けるつもりだ。
私にも弟がいます。
いつも喧嘩ばかりで正直ムカツクんですけどやっぱり弟だからかな?可愛くてしかたがないです。
きっとお姉さんも貴方の事大切に思っていたと思います。
こんなに思ってくれる弟がいることをお姉さんはきっと喜んでいますよ。
私がもしお姉さんだったらきっと今伝えたいのは…。
喧嘩ばっかりやったけど楽しかった。
誰よりも幸せになりな。
私はこっちでのんびり待ってるから、精一杯生きて、頑張るんだよ。いつかこっち来るときはたくさんの土産話持ってきてね。
こっちに来た時、また喧嘩しよね。
喧嘩しつつも本間はすごく大切に思ってたんだよ。
だからこそ誰よりも幸せになってほしい。
頑張り屋で強いから心配はしてないけどね。
大好きやから、かわいい弟やからこっちで見守っててあげるね。
んじゃまたね。